夫婦の違いは夫婦の関係を発展させるための手がかりなのです。
楽しみながらできる夫婦の違いを絆と愛情にするためのコミュニケーション術
夫婦力は 止揚コミュニケーション研究所が提供しております。
犬養毅が凶弾に倒れながらも、「話せばわかる」と言ったというのは有名な話ですが、夫婦の問題は、この「話せばわかる」が状況を悪化させていることが少なくありません。
関係が悪くなってしまったご夫婦のカウンセリングでよくあるやり取りの一つはこんな感じです。
私:どうしたらいいと思いますか?
相談者:話しあうしかないと思います。
私:では、どう話し合いますか?
相:思っていることをぶつけあう
私:なぜぶつけあうと問題が解決するのでしょう?
相:そのぐらいしか思いつかないです。やらないよりはましだと思います。
これでわかることは、話し合う必要性はわかっているものの、話し合うというのはどういうことなのかはお分かりになっていないということです。
自分の思いを相手にぶつけたら、相手も自分の思いをぶつけてきます。それが調整がつかないからうまくいかなくなっているわけですから、「話しあい」と称してより力こぶを入れてそれをしてもうまくいく可能性は低いと考えざるを得ません。
そもそも、話し合いの目的、目標はなんでしょう?
「合意」を目標・目的にするのなら、合意できないことが問題になっているのですから、たぶん困難だと考えられます。話し合いの目標が合意だとすれば、結局は説得と譲歩のプロセスです。
「話せばわかる」と思ってらっしゃる方のほとんどは、わかる=合意=解決で、最終的には説得と譲歩で合意に至り、解決することができる、と信じておられます。別の面から言えば、ビジネスの世界では合意できない相手とは取引しない、というのと同じように合意できないのなら結婚生活はできないと考えておられます。
夫婦の話し合いの目的が合意だというのは、本当でしょうか?
私はそれがファンタジーだと考えています。
ご夫婦は別の人です。どんなに話し合っても、別の生まれ育ちで別の価値観を持つ相手とすべてのことが一致するなどということはあり得ません。ビジネスのように共通の目的があればいろいろな点で違っていても「利益を出す」という点では重なりますが、結婚生活はそもそも何を目的にするか、という点からすでに違います。そもそも全く重ならないことが存在するということです。
なので、ビジネスを進めていくために共通部分を見出してその部分でお互いWin-Winでかかわっていくというモデルでは太刀打ちできないことが存在します。結婚生活をしていくために究極的に必要なことは、重なり合わない相手とどう仲良くやっていくか、です。
そうはいっても、これは難しいことです。ちょっと気を許すと、第4号通信で書きましたように、相手をどう変えるかというコミュニケーションに陥ってしまいます。